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黒鯖inランサ日記

黒鯖inランサ日記

血ぬられた学校Part3

「残念だけど、まだまだ力が足りなかったんだ。次のスリーポイントで決めればいいんだ。それまで頑張ろう」

先輩は励ましてくれたが、俺はただ茫然としていた。

「次の挑戦者は誰だ」

なかなか、皆前に出る様子がなかった。

5分がたつ

「挑戦者がいないなら、お前らは皆ランニングだ」

すると、田中が前にでた。

田中「次、僕がいってもよろしいでしょうか。」


俺は驚いた。田中が自ら挑戦しにいったからだ。


田中「・・・いきます。」


田中はフォームをかまえた。


さすが、バスケを6年間やっていただけの事はある。

フォームはそこそこ綺麗だった。

しかし、田中は自分では下手と言っていた。

こんないいかたをするのは失礼だが、俺でも入らなかったのに田中が入るわけない

そう思った。


スパン・・・


綺麗な音をたてて、ボールはネットを震わせた


見事なまでに、一直線に進み、角度、回転全てにおいてナイスシュートだった。


高田「おい、すごいじゃないか」




「黙れ」


・・・・

俺は身の毛がよだった。

田中の口から「黙れ」という言葉を聞いた気がした。

・・・何かの聞き間違いだったのかもしれない。



2本目シュートフォームをかまえる。




・・


・・




・・・




スパン



またしても綺麗な音をたててシュートが決まった。

「すご・・・」


俺は凄いという言葉を口に出す手前で止めた。

今、田中に話しかけると、怖いセリフが帰ってくるんじゃないか・・と心底不安だった。

聞き間違いでありたい、さっきのは聞き間違いだ


そう思っても、話しかける事ができなかった。



3本目をかまえる





田中を俺はじっと見た。




その時だった



俺は田中の腕を見た瞬間、鳥肌がたった。



腕には無数の傷跡が残っていた。


その傷跡は、ただの傷跡ではなく、何かの暗号のようにも言えた。


俺はそこまで近くで見ているわけでもないので、なんて刻まれているかまでは見えないが、文字になっていた気がする。




・・・・


スパン







俺が、色々考えているうちに、ネットを揺さぶる音で奮い立たせた


3本目も決まっていた。


「僕は、・・・・してやる」


そう言いながら、田中の4本目のシュートは決まった


合格ラインを超したのだ。


俺は状況がうまく把握できなかった。

下手と言っていた田中が実はバスケがうまい。

その状況も把握できないし

そもそもこれは

偶然ではないのか

もしくは、奇跡ではないのか



「偶然でも奇跡でもないよ・・・・」




スパン・・・・・




5本目が決まった



決まったと同時に俺は、心に深い傷を負った。


少し見下していた田中は、俺なんかより遠くの存在に見えたかだ。


なぜかは知らないが、田中が急に遠く離れていく感じがした。




・・・・


田中が5本目のシュートを打つ時言ったセリフを思い返した。

俺の心の中で、思っていた言葉の否定語を田中は吐いてシュートをうった。

なぜ、あんな言葉を吐いたのかはわからない。

俺の心の中が見えた

そんなはずもない

疑問と不安で頭が混乱した

その激しい混乱で、頭の中は真っ暗になり、意識が薄れていった。







・・・・


意識が回復した。

体育館は真っ暗だった。

俺は、とりあえずその場で時計を確認した。

くらいと時計がひかるシステムになっているため、夜中でも見える仕様になっている。


時刻は深夜2時だった。


田中の挑戦した時刻は5時

それまでの期間、俺は意識を失っていたことになる。

当然のように、他の部員は誰もいなかった。


体育館の電気は消えていて、あたりがよく見えなかった。

俺はお化けやら、幽霊なんかを信じるようなたちではない。

そのせいか、深夜2時の体育館を一人でいても、怖いという感情はイッサイ生まれなかった。

俺はとりあえず、横になっている体を起こし、立ち上がった。

そして、更衣室に戻り着替えをして、体育館を出ようとした。




・・・・


扉をいくら、押しても引いてもびくともしなかった。

この扉は、外からカギを閉めてしまうと中から開かなくされていた。

深夜2時に体育館に閉じ込められてしまった。


いや、まてよ・・・


俺に疑問が一つ生まれた。


な…ゼ・…俺…は・・・ここ・・・・に・・・い・・・・・る・・・・?


な・・・ゼ・…誰…・も・・・・俺…を…一人にさせて・・・かえ・・・った・・・?


冷静になって考えてみるとあり得ない状態。

普通、気を失っている人がいたらとりあえず保健室につれていく。

それなのに、誰も俺を保健室に、運ぶことはなく・・・


それどころか、そのまま放置して帰ってしまう

この状況は、普通なら絶対にあり得ない

そもそも・・・・

・・・


・・・・・

・・・・・・・



・・・・・・・・・




・・・・・・・・・・・・



続く
















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